sifue's blog

プログラマな二児の父の日常

理系学生って社会の何? その1

このBlogは、理系学生のブログにも関わらずあまり理系学生そのものについて書く機会がなかったので、これから数度に分けてコラム「理系学生って社会の何?」というタイトルで書いて行こうと思います。
最初に、文系の学生なんかが抱く理系の学生というのはどういうものでしょうか?少なくとも数字やコンピューターに強そう、そして、最近は就職が有利、とかそういう印象を持っているのではないかと思います。(アキバ系の人が多いというのも(苦笑))
今回はその日本の理系がどのようなものなのかを、来年度大学院に進学する理系の自分の立場から書いていきたいと思っています。
ちなみに、理系学生が理系に来る理由はなんでしょうか?少なくとも自分は数学と物理、化学が得意だったこと、そして大企業や内外の研究所に所属して、産業に対して貢献できる優秀なエンジニアや科学者になり、そしてあわよくば独立してお金持ちにないという夢がありました。そして自分の行く理工系大学への進学はそれをかなえるための第一歩になるだろうと…。
しかしながら、大学に入ってみてかなりのギャップがある事に気付きました。まず最初に大学1年で始めるのは理工系の基礎科目などの大学の勉強なのですが、まあ、これはいずれ役に立つだろうとそれなりに勉強します。そして、大学の2,3年と実際の実験と専門科目の勉強がはじまり、このような学問が研究室で研究するのに必要なのだと感じながら、それなりに、勉強して単位を取ります。そして苦節3年後、ギャップを感じるのは,とりあえず今までの勉強はそんなに役に立たないことと、理系では金持ちになれない事を知る研究室に入ってからです…。
とりあえず、「ん…、これは一体社会の何の役に立っているんだろう」という研究をやっている研究室が大学にはめちゃくちゃ沢山あります。実際にその研究室に行ってその話を聞いてみると、確かにすごく何十年も長期的に考えれば社会の役に立ちそうな研究なようにも思われるのですが、実際に社会への還元やビジネスに直結するような研究はしていない事に気付きます。これはもちろん、理学系ではなく工学系の学部の話です。ちなみに中には、新しい世代の技術が出ているにも関わらず、旧来の手法について研究している研究室もあったりもします、そうなると悲しい事に社会の役に立つ前に旧世代の技術になってしまったりで散々です。
この事をセミ・アカデミックの研究が多い、といえばいいのでしょうか…。実際に産業や市場に出す事の出来るプロダクトや技術を作っている研究室は殆どなく、もともと他の研究室から出ている技術の追従研究や、さらにそれに行なうための基礎研究、そしてその基礎研究をための基礎基礎研究などをやっている所が非常に多いということです。企業との共同研究を行なっている所はまだ救いがありますが、これはそれ以外の日本の国立大学の研究室の殆どに言える事だと思います。
つまり、大学での研究の殆どが、サイエンスに貢献する事を研究しているのであり、社会に貢献することはやっていない場合が多いという事が言いたいのです。
さらにこの結果から自分たち理工系学生にどのような影響があるのかという事ですが、まとめると、
理工系の大学で普通に勉強や研究した事を元にして職にはありつけない。そして、大学で学んだ技術で食っていくことはできない。
という事です。
これは、分野によってもかなり異なるとは思うのですが、自分自身は社会への還元に直結している勉強をする建築系と医学系の二つと有機合成系を除いては、かなりこういう感じがします。逆に、建築学系と医薬系などは卒業すれば、ある程度学んだ事で食って行く事ができるんじゃないでしょうか。
要するに日本の大学で理工系の学問を勉強しても、学んだ技術で食って行くのは本当に難しいという事です。理学を除いて、バイオ、情報工、電気電子、機械、有機無機材料などの普通の工学分野は、大学を卒業して勉強したことで直接社会に還元できるとは到底思えません。
この事は、文部科学省が出した科学技術白書の中からも読み取ることができます。大学の技術のレベルは非常に低く、産業界(民間)との格差は大きい事を以下の資料の第1-1-10図を見れば納得していただけると思います。
http://wwwwp.mext.go.jp/hakusyo/book/hpaa200101/hpaa200101_2_010.html
実際に、大学院を卒業した人の中で、大学の研究が大企業などに入ってする研究の役に直接役に立ったという人は非常に少なく、大学での研究はそれで完結してしまっている人が殆どではないかと思います。企業の方も、大学での教育や理工系学生の技術力というものにそもそも期待をしていないでしょう。

ただ産業と大学の格差もすごいのですが、加えて日本の技術力自体に対してショックな事が平成15年の科学技術白書のあらましに書いてあります。

 我が国は、欧米の追従から脱却し、世界の先駆者として、科学技術の分野を切り開いていかねばならない立場になったと言われてから久しいが、実際には未だ先頭に立っているとは言えないばかりか、先端的な技術領域や境界領域では逆に米国等に引き離されつつあるのが現状である。さらに、中国等の追い上げによって、これまでよりも更に高い付加価値を創造し続けていかなくては、日本は生き残っていけなくなってきている(第1図参照)が、追従者であった時代と比べ、先駆者の一員となった現在では研究開発投資に対する営業利益の比率は低下傾向にある(第2図参照)。

http://www.kantei.go.jp/jp/kanpo-shiryo/2003/0910/siry0910.htm

まあとどのつまり、もう先端分野で日本は生き残っていけないと報告されているわけです。日本の大学の理工系の一般的な研究室の先端技術を、世界に出ている論文と読み比べて疑問を抱かざるをえない状況であるのも当然というわけでしょう。まあ、このような状況を知らずに、日本の大学の理工系に進んだのですから、今のような現状に突き当たるのも当然といえば当然です。
さらに、よくよく調べてみると、
スイスはローザンヌ(バレエで有名ですね)のビジネススクール、IMD(国際経営開発研究所) の「2002年主要国経済の国際競争力ランキング」にて、日本は、大学教育の国際競争力で主要49ヵ国中49位という結果だったりします。
参考URL:
http://gc.sfc.keio.ac.jp/class/2004_16773/slides/10/index_34.html

ううむ…。ただし、同じIMDのランキングをみても、特許出願数は1位だったりして産業界の技術力の高さはまだ何とか維持しているのではないかと思わせる所がありますが、まあそれは置いておいて、ここでいいたいのは普通は国内の理工系大学の学生は、今理系の大学で学んでもそれを元に職にはつけないし、もちろん、世界で活躍することもないよ、という事です。要するに何を勉強しているのかもはやわからん!という状況とも言えるんじゃないかと思います。
なんか最近、日本は科学技術立国としてやっていくべきだ、とかそういう話を各所から聞きますが、今の現状を考えると、かなりギャップのある事を言っているんだなぁと思わされます。子供の理系離れや、指導要領の簡化も考えると、もはや何を言ってるのかわからなくなってきます。
じゃあ、理系学生って社会の何なの?という疑問が湧き上がると思いますが、答えは、もうわかったであろう読者の皆さんの想像にお任せいたします。とりあえず、現在このような状況があるという事です。
次回からは順を追って、理系が先端技術を学ぶという事、文理融合、理系の大学院進学率の高さ、博士課程からポスドクへ、理系の文系就職の増加、という風に書けるところまで書こうと思います。
あと、このはてなダイアリーには、自由理系同盟というものがあるみたいなので、このキーワードも今後書き込んでいきます。