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sifue's blog

プログラマな二児の父の日常

良心をもたない人たち―25人に1人という恐怖

良心をもたない人たち―25人に1人という恐怖

良心をもたない人たち―25人に1人という恐怖

久しぶりに本で、こんなにも心から感動しました。
大勢の人と触れ合う人、そして自分が良心ある人間だと自覚している組織や団体のリーダー、心ない人に深く傷つけられた経験のある人は、絶対読んだ方よいと思います。
まずこの本では、良心を全くもたないタイプの人、サイコパス(精神病質)の人がこの世にどう存在しているのかという事例が書いてあります。そして、なぜ良心がこの世に生まれたのか、どうして良心をもたぬ人がいるのかなどを、リチャード・ドーキンスの著作「利己的な遺伝子」を引用したりし、ハーバードメディカルスクールの精神医学部の心理学の講師である著者が生物学、心理学、社会学、宗教学の観点から考察しています。最後に、良心を持たぬサイコパスとの対峙の仕方を解説し、良心や道徳の偉大さを訴えた本がこの本です。
個人主義の発達した欧米では4%、日本では少ないと言われるこの良心を持たぬサイコパスですが、どのような人かは想像は付きにくいと思います。もし自分に良心がなくなったら、どのように生きるかなんて想像もできませんよね。
この本ではこうかかれています。

  • 良心のない人には一種のカリスマ性と人気がある。口の達者さと表面的な魅力、オーバーぎみの自尊心を持ち、しかしよく知るにつれてうさん臭さを感じたりする。そして病的に嘘をつき、人をだまし、時にぞっとするほどの冷たさを感じさせる。これらの人は外見、容姿、職業や立場に関係なく、法に触れることなく社会に溶け込んでいる。
  • IQが高く上昇志向が高い場合:満々の野心と高い知能を背景に巨大な富と力を追い求め、厄介な良心の声に煩わされることなく、成功を目指す他人の試みを片っ端から打ち砕くことができる人である。
  • 野心家だが知能はそこそこの場合:自分の能力の高さに限界を感じ、世の中全般に怒りを抱き、周囲の人をねたんでいる。結果、小さな集団を自分が管理する立場に立ち、権力を用い少数の人をおびえさせ、彼らから盗み、―理想的には―彼らに自分が悪いのだと思わせる。
  • 暴力的な場合:自分の内側からやめろという声は上がらず、同僚を殺したり誰かに殺させたりする。自分にできないことは何もないとおもっている。
  • 寄生虫的な場合:力には全く興味はないが、のらりくらりやっていきたいことを願っている。同情を誘い、空涙を使い、性的関係などを持つことで、良心に縛られた人に寄生し、一生働かずに生きようとする。

想像がつくでしょうか…。集団的な道徳が重んじられる東洋の国ではサイコパスは0.03〜0.14%と言われているそうです。ただ、確実にこういう人はいると自分自身もなんとなく思います。著者はこのような人とやっていくためのの対処法をあげていて、

  • 世の中には良心のない人もいるという苦い薬を飲み込もう
  • 自分の直感と相手の肩書きにギャップを感じたら、直感のほうを信じよう
  • 嘘、約束不履行、責任逃れが3回重なったら、その人を信じてはいけない
  • 人に同情しやすい自分の性格に疑問をもとう
  • 治らないものを治そうとしてはいけない
  • サイコパスから身を守る最良の方法は、相手を避けること、いかなる種類の連絡も絶つこと
  • 幸せに生きること、それが最高の報復となる

となっています。自分自身は最後の二つに感銘を受けました。
競争や自然淘汰の世界の中で本来邪魔となる良心や道徳という概念が、なぜ生まれたのかに関しても書いてあります。著作「利己的な遺伝子」と同様の解釈で、個体ではなく、自分の遺伝子と相同な遺伝子を持つ集団を守るために良心は必要な概念であるという考えと、良心の生む高い価値観が人間を幸せにするという考えでまとめてあります。
逆に、良心を持たぬサイコパスは戦争では良心の呵責なく人を殺せる特別な人であり、重宝されてきた事なども例にあげ、純粋な競争の社会で必要とされてきた人と位置づけています。
フロイトの精神医学、キリスト教ヒンドゥー教、その他様々な事例と照らし合わせ書かれたこの本は、非常に完成度の高い本だと思いました。かつ、事例を交えて書いてあるためとても理解しやすい本でした。
日本がこれからどんどん個人主義社会になっていけば行くほど、意味のある名著となるのではと思います。