sifue's blog

プログラマな二児の父の日常 ポートフォリオは www.soichiro.org

日本人の若者の生き方の多様性について、ドイツ人の方にインタビューを受けた

ちょうど先週のことになるのですが、国際交流の学生団体の運営をやってたころの先輩がドイツで働いていることもあって、その方の知り合いのドイツ人の方に、


「日本人の若者の生き方の多様性について」


という形のインタビューを受けることになりました。インタビュアーはノラ・コットマンさんという女性の方だったのですが、一橋大学に留学していたらしく、日本語がめちゃくちゃうまかったです。今は一児の母をしながらデュッセルドルフ大学(ハインリヒ・ハイネ大学)で研究を続けているとのこと。
http://www.phil-fak.uni-duesseldorf.de/oasien/personal/nora-kottmann-m-a/


3時間ほどインタビューを受けたのですが、メモに書き留めていたドイツとの違いをいくつか書いていきます。

  • ドイツでは大学がタダだった。最近値上がりして年間500ユーロ(5万円ぐらい)。値上がりしたときに学生によるデモが起こった。ちなみに日本では国立大学でも年間60万。私立に行くと100〜200万以上かかることに驚かれた。
  • 日本の有利子奨学金制度に驚かれた。自分は無利子のものを借りたが、借りるためにはある程度成績が良くないとダメ。譲渡の奨学金はかなり少なく、金額も低め、卒業後その企業に入らないと行けないとかという縛りがあったりする。昔は教職につくと返還免除されたが、今は廃止された。現在年利3%(24年で2倍、12年で1.41倍)で、院卒業するまでに600万以上借りる人もおり、20年ぐらいかけて返すので利子で500万ちかく奨学金団体にもってかれる。今不景気で返せなくなって訴えられてる人とかいる、という話は信じられないとのこと。
  • ドイツには新卒の就職活動という概念がない。大学を卒業したらアルバイトをしたり、1〜2年のインターンをしながら30歳ぐらいまでに良い会社を見つけてその会社への就職を決める。インターンの応募は常にいろんなところがやっている。
  • ドイツでは就職活動の際に大学での成績が重視されるので、みんな一生懸命勉強する。ちなみに日本では、ヘタをすれば東大で4年留年して最下位卒業の人の方が、中堅大学の主席卒業よりも就職しやすい。この辺の日本の非常識にも驚かれた。
  • ドイツは東京ほど家賃が高くない。確かにネットで調べるとミュンヘンは住宅難にも関わらず60平米で二人で住んでも800〜900ユーロほど。円高で安く感じるのもあるけれど、都内だと最低でも10万は超えてくる。
  • 日本の若者はドミトリーのような場所で安い家賃でフリーター生活を一度初めてしまうと二度とビジネスマンやエンジニアのような正社員としての働き方ができない。ドイツではそんなことはない。インターンはいつでもはじめられる。
  • 日本人の結婚は非常にコストがかかる。
  • 昔の日本のお見合い制度にビックリ。ドイツでは好き同士が基本的に結婚する。今の日本はお見合い制度がなくなっているが、未婚率は上がる一方。(あとでネットで調べたら、少子化傾向、未婚化傾向共に日本とドイツは同じぐらいらしい)
  • 今ドイツでは、女の子の名前にアンナとハンナという名前が流行っている。古風な名前らしく、リバイバルしている。日本でもそういうことがあるよというと、この辺の感性は同じなのだなと感じた。
  • ドイツでは休日は絶対休める。日本の場合たまに振出、休出で土日出ることもあるし、ずっと土日出るような働き方をする人もいる。ただドイツではこれに付随する問題もあって、日曜日は働いてはいけないので全てのお店が閉まっている。昔、コンビニのようなお店だけ日曜日も開業できるようにしようという法律が出されたが、キリスト教系の団体の圧力で否決されたとのこと。
  • ドイツではちゃんと有給休暇を使った長期バカンスを取る。まあ日本では外資系でもないかぎりないかなという感じ。
  • 男が育児休暇で1ヶ月くらい休めたりしない、ということに驚かれた。自分はそんなに休めることに驚いた。
  • 「最後にそんなに働いてて死なないの?」と聞かれて、「死んだり鬱になったりします」と答えた。


という感じでした。


雑感としては、日本の若者は金銭的、時間的な側面でかなりの束縛をドイツに比べてされているなぁと思いました。まあ革命でも起こらない限り、これから若年層がよりキツイ生活を強いられる現状は変わらないのではと思います。


あと、もっと不安なことは日本の若年層にお金が無いため、どんどん教養レベルが下がって、政治・経済に興味がなくなっていること。これは投票率を下げます。若年層の投票率が下がると、より高年齢層に向けた政策が打たれるようになり、より若年層が貧しくなって教養が下がっていきます。完全に負のスパイラル。


仮に投票をインターネットと携帯電話からしかできないようにして、若年層の投票率を上げても、政治・経済に対する教養が下がっている状態では、結局芸能人やスポーツ選手などの政治家が増えて衆愚政治が行われるようになるだけ。そう考えると日本の教育、政治、経済ののシステム自体が袋小路にきているのかもしれないなと感じます。


ドイツの若者たちが、ドイツの大学有料化に反対したのは、若者が教育に対して時間とコストを費やすことができないということが、若者の教養を下げ、国力の低下を招くということがわかっていたからなのでしょうか…。そう思うと、時間をかけてでも高校無料化・若年層の就職優遇など若者、子供のために時間とお金と人をつぎ込む未来へ投資する政策というのが今の日本には求められているのかもしれません。