夏目漱石の「こころ」を読む。
- 作者: 夏目漱石
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1989/05/16
- メディア: 文庫
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この夏目漱石の「こころ」は、彼女のお勧めの作品でもあり、最初はたらたらと読んでいたのですが、さすがに23歳の時分になって読むこのこころは、非常に深く、最後はのめり込む事になりました。
特に主人公の洞察力の高さにびっくりです。表情の機微、動作の機微、筋肉の痙攣から言葉のニュアンスの違いより受け取る人それぞれの感情が信じられないほど細やかに書かれています。頭の中で起こる感情や哲学の衝突も深く、昔の人間ってこんなに洞察力があるの!?って感じです。
でもそう思うと、最近の流行りものの小説や読みやすい小説は、基本的にフレーズと刺激的なキーワードや効果音で演出されているものが多いなと感じます。それとは違う、頭を使いはするものの深い夏目漱石のこの表現に脱帽しました。
やっぱり今の人間と過去の優れた人間の大きな違いは「洞察力」にあるのかもしれません。全てそこに集約されるような気がします。
ちなみに最後の章の「先生の遺書」が面白かったです。人間の「欲」と「嫉妬心」と「良心」のせめぎ合いは、人間のこころの矛盾とすばらしさ、そして悲しさを良く描き出しています。深く考えさせられるものがありますね、そしてそれらを全て表現した夏目漱石は伊達に千円札に載ってるだけないなと思いました。
これからも昔の文学作品を時間があれば読んで行きたいところです。