sifue's blog

プログラマな二児の父の日常 ポートフォリオは www.soichiro.org

100円の価値。

昨日、軽井沢の方に同期の友人とうちの奥さんとでスキーに行ってきてその帰り、新宿駅で一人のホームレス老人が「100円頂戴」と、切符を買う人たちに話しかけていました。
その老人が誰かから100円を恵んでもらうことができたのかどうかは知りませんが、100円の価値について少し考えさせられた瞬間でした。
 
昨日の新宿といえば寒波と大風で非常に寒かった訳なんですが、あの時の100円の価値というものは本当はすごいのではないかと思ったのです。
100円あれば、24時間のマクドナルドで暖かい一晩を過ごすことができます。別にハンバーガーショップ難民とかを応援しているわけではないのですが、昨日のような寒い日には、老人には堪えたでしょう。100円をもらえるかもらえないかで、生死が決まる夜だったのかもしれません。
 
老人の「100円頂戴」その言葉が、何度も何度も雑踏にかき消されてゆく、その老人にとっては人生の命運をかける何かがあったのかもしれません。ホームレスって今や世界のどこにでもいたりするわけで、そのような人生をかけた”100円戦争”みたいなものが、いろいろなところで起こっているのだと思います。
 
ただ100円というのは、赤の他人からもらうにはなかなか恵んでもらうには高額(みんな10円とかははした金なら自動販売機に残っていたり、落ちていたりするのに)なんだな、とその光景をみて感じました。一方、信頼のある関係、家族、友人、恋人などだといともたやすくもらえるお金のような気がします。自分も大きなお金をもっていたわけではないけれど、100円のジュースを友人に買ってあげたり、それぐらいのお菓子を共有したりということはよくあるわけで、信頼関係に基づく中では100円は非常に安い。ただし、ホームレスにあげる100円というものは非常に高いものなのだということを、新宿駅にいたいろんな人たちが証明していたような気がします。
もちろんそのように状態なっていったホームレスになった老人にも責任はあるし、社会にも責任があったとして、誰にも守られなかったその老人はそこで一人の戦いをしていたわけです。
 
老人はどのようなタイミングで一人で戦わねばならなくなるのか、家族、肉親や信頼関係のある人が周りに誰もいなくなったときなのか、社会的な補償をすべて失ったときなのか…。
 
誰にも助けてもらえなくなるということは、こういう戦いをする覚悟をするということなんだなと思った瞬間でした。
日本の将来推計人口(平成18年12月推計)
http://www.ipss.go.jp/pp-newest/j/newest03/newest03.asp

また人口問題研究所の統計ですが、これから3~40年で今の出生率水準でいっても日本の人口は3分の2になります。家族の関係は樹状にひろがっていくものと考えると、その中で切られていく家族枝の最後を一人で迎える人はぐんと高くなるわけです。家族がもっとも信頼を得やすい関係だとすると、要するに誰にも守られない老後を迎える人の数はこれからどんどん増えていくことが考えられます。
 
100円戦争はこれから増えていくことになるのでしょう。ただ自分がそうならないためにも、家族、親戚、周りにいる人たちとどれだけ大切な信頼関係を築いていくかが、これからを生きる世代にとってとても大切なことになるだろうなと思った日でした。